公的一次情報にもとづく実務ガイド最終確認 2026-07-24

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準確定申告のやり方——亡くなった方の確定申告を「4か月以内」に済ませる手順を解説

準確定申告とは、亡くなった方(被相続人)の1月1日から死亡した日までの所得について、相続人が代わりに行う確定申告のことです。結論を先にお伝えすると——申告するのは相続人、期限は相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内、提出先は故人の死亡当時の納税地(通常は住所地)を管轄する税務署です。全員が必要なわけではなく、年金収入のみで一定額以下など、そもそも確定申告が不要な方は準確定申告も不要です。逆に、医療費や年金から源泉徴収された税金がある場合は、申告することで還付を受けられることもあります。この記事で、やり方と必要書類を最初から整理します。

準確定申告とは何か

私たちが毎年行う確定申告は、通常「その年の1月1日から12月31日までの所得」を、翌年の2月16日〜3月15日ごろに申告します。ところが、年の途中で亡くなった場合、本人はもう申告できません。

そこで、亡くなった方の1月1日から死亡した日までに確定した所得金額および税額を、相続人が計算して申告・納税するのが準確定申告です。「準」がつくのは、通常の確定申告に「準じる」手続きだからです。

対象は、あくまで故人自身の所得です。相続で受け取った財産にかかる相続税とは別の話で、時期も窓口も異なります。ここを混同しないことが第一歩です。準確定申告は「故人の所得税の精算」、相続税申告は「相続財産への課税」——目的がまったく違う手続きだと押さえておきましょう。

なお、確定申告をすべき人が、翌年1月1日から確定申告期限(原則3月15日)までの間に前年分を申告しないまま亡くなった場合は、前年分と本年分の両方が準確定申告の対象になります。たとえば3月1日に亡くなった方が前年分をまだ申告していなければ、前年分と本年分をあわせて申告することになります。この場合の期限も、いずれも相続の開始を知った日の翌日から4か月以内です。

準確定申告が必要な人・不要な人

準確定申告は、亡くなった方の全員に必要なわけではありません。基本的な考え方は、「その方が生きていれば確定申告が必要だったかどうか」です。

準確定申告が必要になりやすい人(例)

  • 事業所得や不動産所得があった(自営業・フリーランス、アパート経営など)
  • 給与を2か所以上から受けていた、または給与以外の所得が一定額を超えていた
  • 給与の年収が2,000万円を超えていた
  • 公的年金等の収入が400万円を超えていた、または年金以外の所得が20万円を超えていた
  • 土地・建物・株式などを売却して譲渡所得があった

準確定申告が不要になりやすい人(例)

  • 収入が公的年金等のみで、その収入額がおよそ400万円以下、かつ年金以外の所得が20万円以下
  • 収入が1か所からの給与のみで、年末調整で精算が済んでいる

ただし、これらは一般的な目安です。控除の状況や所得の種類によって結論は変わるため、「不要そう」に見えても、源泉徴収された税金がある場合は申告すると還付されることがあります(後述)。判断に迷うケースでは、税務署や税理士に確認するのが確実です。

期限は「相続の開始を知った日の翌日から4か月以内」

準確定申告の期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内です。

通常の確定申告のように「翌年3月15日」ではない点に注意してください。起算日は「亡くなった日」そのものではなく、相続人が相続の開始を知った日の翌日です。多くの場合は亡くなった日と同じか近い日になりますが、事情により知るのが遅れたケースでは、知った日が基準になります。

4か月というと余裕があるように感じますが、実際には葬儀や各種の届出、遺産の把握と並行して進めることになり、あっという間に過ぎてしまうというのが現場の実感です。故人が確定申告をしていた方かどうか、事業や不動産の収入があったかを、早い段階で確認しておくと安心です。

期限を過ぎると、納税がある場合は無申告加算税や延滞税がかかることがあります。一方で、還付を受けるための申告(還付申告)は、期限を過ぎても一定期間は受け付けてもらえる場合があります。いずれにしても、まずは期限内の対応を基本に考えましょう。

準確定申告のやり方(手順)

やり方は、大きく次の流れで進みます。

①相続人を確認する

まず、誰が相続人なのかを確定します。相続人が複数いる場合、準確定申告は原則として相続人全員で行うためです。故人の戸籍などから相続人を把握します(相続人の範囲や順位は、別記事の法定相続情報でも解説しています)。

②故人の所得を集計する

1月1日から死亡日までの、故人の所得を集計します。年金や給与の源泉徴収票、事業・不動産なら帳簿や領収書、株式・不動産の売却があれば譲渡の資料などを集めます。生前に確定申告をしていた方なら、前年の控えが手がかりになります。

③準確定申告書と付表を作成する

申告書は、通常の確定申告書の様式を使い、表題部分を「準確定申告」として作成します。あわせて、準確定申告書の付表(正式には「死亡した者の令和○年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告書付表」)を作成します。

この付表には、各相続人等の氏名、住所、被相続人との続柄、それぞれの相続分やあん分割合、各人の納付・還付額などを記入します。相続人が複数いる場合、この付表が「誰がいくら負担・受領するか」を示す重要な書類になります。

なお、準確定申告書は、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」では作成できません(執筆時点)。手書きするか、e-Taxソフト等を利用して作成することになります。相続人が1名だけの場合でも、e-Taxで申告するときは付表(XML形式)の提出が必要です。

④税務署へ提出し、納税または還付を受ける

作成した申告書と付表を、故人の死亡当時の納税地を管轄する税務署に提出します。納税がある場合は同じく4か月以内に納め、還付がある場合は指定口座へ振り込まれます。

準確定申告の必要書類

準確定申告で用意する主な書類は、次のとおりです(ケースにより増減します)。

  • 準確定申告書(通常の確定申告書の様式を準確定申告として使用)
  • 準確定申告書の付表(相続人が複数の場合は特に重要。相続人の情報や各人の負担・還付額を記載)
  • 故人の所得を証明する資料(年金・給与の源泉徴収票、事業・不動産所得の帳簿類、譲渡所得の資料など)
  • 各種控除の証明書(生命保険料控除証明書、社会保険料の資料、医療費の領収書など)
  • 相続人の本人確認書類(マイナンバー関連書類など)
  • 相続人が複数の場合、相続人全員の連署、または各人が別々に提出する場合は他の相続人の氏名を付記した書類

医療費控除や各種の保険料控除は、死亡の日までに被相続人が支払ったものが対象になります。亡くなった後に相続人が支払った分は、原則として準確定申告の控除には含められない点に注意してください。また、配偶者控除や扶養控除などの判定は、原則として死亡の日の現況で行い、月割計算などはしません。

提出先・納税——「故人の納税地」の税務署へ

提出先は、相続人の住所地ではなく、被相続人(故人)の死亡当時の納税地を管轄する税務署です。納税地は通常、故人の住所地を指します。自分の住まいの近くの税務署ではない場合があるので、間違えないようにしましょう。

納税がある場合の納付期限も、申告と同じく相続の開始を知った日の翌日から4か月以内です。相続人が複数いる場合は、原則として各相続人が相続分に応じて納税します。付表で計算した各人の負担額にもとづいて納めるイメージです。

還付になるケース——申告した方が得なこともある

「納税がある」とは限りません。準確定申告をすることで、払いすぎた税金が戻ってくる(還付)ケースもあります。代表的なのは次のような場合です。

  • 年金や給与から所得税が源泉徴収されていて、精算すると納めすぎになっている
  • 亡くなるまでに多額の医療費がかかっており、医療費控除で税額が減る
  • 生命保険料控除や社会保険料控除など、適用できる控除があった

こうした場合、準確定申告は「義務」というより「還付を受けるための手続き」になります。故人が年金受給者で、入院や通院の医療費がかさんでいた——といったケースでは、申告することで還付を受けられる可能性があるため、不要と決めつけずに一度確認する価値があります。ただし、還付されるかどうかは所得と控除の状況によるため、金額は場合によります。

よくある誤解・注意点

通常の確定申告とは「期限」も「作る人」も違う

最大の混同ポイントは、通常の確定申告と同じ感覚でいると期限を誤ることです。通常は翌年3月15日ですが、準確定申告は相続の開始を知った日の翌日から4か月以内。作るのも本人ではなく相続人です。時期・主体の両方が違うと押さえてください。

相続税の申告とは別物

準確定申告(故人の所得税)と、相続税の申告(相続財産への課税)はまったく別の手続きです。相続税には相続税の期限(相続の開始を知った日の翌日から10か月以内)があります。「4か月」と「10か月」を混同しないようにしましょう。

付表と「相続人全員の連署」

相続人が複数いる場合、準確定申告書には相続人全員の情報を記載した付表を添付し、原則として全員が連署して提出します。ただし、他の相続人の氏名を付記すれば、各人が別々に提出することも認められています。連絡が取りにくい相続人がいる場合などは、この方法が現実的です。

「作成コーナー」で作れない・複雑なケースは専門家へ

前述のとおり、準確定申告書は確定申告書等作成コーナーでは作成できません。また、事業所得や不動産所得、譲渡所得があるケース、控除の判断が難しいケースでは、集計や税額計算でつまずきがちです。税務の個別判断が絡む複雑なケースでは、税理士に依頼するのが確実です。無理に自力で進めて期限を過ぎるより、早めに専門家へ相談する方が結果的に安心なことも多いです。

まとめ

準確定申告は、亡くなった方の「その年の所得税」を相続人が精算する手続きです。要点を整理します。

  • 何か:故人の1月1日〜死亡日までの所得を、相続人が代わりに申告・納税する
  • 誰が:相続人(複数なら原則全員。付表に全員の情報を記載し連署)
  • いつまで:相続の開始を知った日の翌日から4か月以内
  • どこへ:故人の死亡当時の納税地(通常は住所地)を管轄する税務署
  • やり方:①相続人の確認 → ②所得の集計 → ③申告書と付表の作成 → ④提出・納税/還付
  • 注意:年金のみで一定額以下なら不要な場合も。逆に源泉徴収や医療費があれば還付されることも

なお、死亡後の手続きは準確定申告だけではありません。死亡届・年金の停止・相続放棄・相続税申告など、期限の違う手続きが同時に押し寄せます。死亡後の手続き全体の流れは〈死亡後の手続き一覧〉でまとめて確認できます(/blog/shigo-tetsuzuki.html)。


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準確定申告は、亡くなったあとに発生する数十種類の手続きのうちの一つです。死亡届は7日以内、年金の受給停止は10〜14日以内、相続放棄は3か月、準確定申告は4か月、相続税申告は10か月——期限の違う手続きが次々と押し寄せます

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出典・参考

※本記事は一般的な制度・手続きの説明であり、個別の税務・法律相談ではありません。必要書類・期限・様式・控除の適用は執筆時点(2026年)の一般的な情報で、地域や個別の状況、制度改正により異なる場合があります。税額の計算や適用の可否など個別の判断は、必ず税務署または税理士など専門家にご確認ください。

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