公的一次情報にもとづく実務ガイド最終確認 2026-07-24

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高額療養費は死亡後でも請求できる|亡くなった人の払い戻しを遺族が受け取る手続きガイド

亡くなった方に高額な医療費があった場合、その高額療養費(自己負担限度額を超えた分の払い戻し)は、遺族(相続人)が代わりに請求できます。結論を先にお伝えすると——請求できるのは故人の相続人、期限は診療を受けた月の翌月初日からおよそ2年、窓口は故人が加入していた保険者(国保・後期高齢者医療は市区町村や広域連合、健保は協会けんぽや健康保険組合)です。これは申請しないと戻らないお金で、放置すると2年の時効で消えてしまいます。この記事で、誰が・いつまでに・どこで手続きすればよいかを整理します。

高額療養費とは何か

高額療養費とは、1か月(月初から月末まで)に医療機関の窓口で支払った自己負担額が、年齢や所得に応じて定められた「自己負担限度額」を超えたとき、その超えた分が後から払い戻される公的医療保険の制度です。

たとえば入院や手術で医療費が高額になっても、実際の自己負担には上限が設けられています。窓口でいったん自己負担分(原則3割など)を支払い、限度額を超えた分を後日、保険者に請求して払い戻しを受ける——というのが基本的な流れです。

この払い戻しは自動では受け取れず、原則として申請が必要です(保険者によっては申請を促す通知が届くこともあります)。つまり、亡くなった方が生前に高額な医療を受けていた場合、その高額療養費が未請求のまま残っていることが少なくありません。

一般に「申請しないともらえないお金」の代表例として、未支給年金・葬祭費・埋葬料などと並んで挙げられるのが、この高額療養費です。

死亡後でも請求できる——未請求分は相続人へ

高額療養費を受け取る権利は、本人が亡くなったあとも消えません

故人が生前に高額な医療費を支払っていたものの、高額療養費を請求しないまま亡くなった場合、その払い戻しを受ける権利(未請求分)は残ります。これを遺族(相続人)が故人に代わって請求することで、受け取ることができます。

たとえば、亡くなる直前に長期入院していた、月をまたいで手術・治療を受けていた、といったケースでは、高額療養費の対象になっている可能性が高くなります。故人あてに保険者から「高額療養費に関するお知らせ(支給申請書)」が届いていたのに、看病や葬儀に追われて手続きできていなかった、というのもよくある状況です。

この払い戻されるお金は、本来は生前に故人が受け取るべきだったお金であるため、受け取った還付金は一般に相続財産として扱われるとされています。相続財産にあたるということは、遺産分割や相続税の対象になりうるということでもあります。この点は税務・相続の論点にかかわるため、金額が大きい場合や判断に迷う場合は、後述のとおり専門家に確認することをおすすめします。

誰が請求できるか(相続人・相続放棄との関係)

亡くなった方の高額療養費を請求できるのは、原則として故人の相続人です。相続人が複数いる場合、代表者が請求したうえで、受け取った還付金を遺産分割の中で分ける、という扱いになるのが一般的です。保険者によっては、相続人全員の同意や委任状を求められることもあります。

相続放棄を考えている場合は要注意

ここで特に注意したいのが、相続放棄との関係です。

亡くなった方の高額療養費(還付金)を相続人が受け取ると、「相続財産を受け取った(相続する意思がある)」とみなされ、相続放棄ができなくなる、あるいは相続放棄が無効になるおそれがあるとされています。故人に借金など負債があり相続放棄を検討している場合、高額療養費を安易に受け取ってしまうと、放棄が認められなくなる可能性があるということです。

一方で、亡くなった方が世帯主や被保険者本人ではなかった場合など、還付が相続財産にあたらないと整理できるケースもあるとされ、状況によって扱いが変わります。相続放棄を検討している場合は、高額療養費を受け取る前に、必ず弁護士・司法書士などの専門家に相談してから判断してください。この判断は個別性が高く、本記事だけで自己判断するのは避けるべき部分です。

請求期限(時効)——診療月の翌月初日からおよそ2年

高額療養費には時効があります。一般に、診療を受けた月の翌月の初日から起算しておよそ2年で、請求権が時効により消滅するとされています。

つまり、亡くなった方の未請求の高額療養費も、放置するとおよそ2年で請求できなくなると考えておくのが安全です。未支給年金の時効(およそ5年)よりも短いため、より早めの対応が必要です。

2年と聞くと余裕があるように感じるかもしれませんが、月ごとに時効が進んでいく点に注意が必要です。たとえば亡くなる半年前から複数月にわたって高額な医療を受けていた場合、古い月の分から順に時効が近づいていきます。故人が生前に受け取り忘れていた過去の分も、時効前であればさかのぼって請求できることがあるため、心当たりがあれば早めに確認しましょう。

時効の起算日や残り期間の考え方は、保険者や個別の状況によって細かな違いがあります。正確な期限は、後述の窓口で確認してください。

必要書類

高額療養費の請求(死亡後)に使うのは、保険者ごとに用意された「高額療養費支給申請書」です。相続人が請求する場合、一般に次のような書類が必要になります(保険者によって異なるため、必ず事前に確認してください)。

  • 高額療養費支給申請書(保険者所定の様式)
  • 亡くなった方と請求する方の続柄が確認できる書類(戸籍謄本など)
  • 相続人であることを証する書類(戸籍謄本、法定相続情報一覧図など)
  • 請求する方の本人確認書類
  • 受取先となる請求者(相続人)名義の金融機関の口座がわかるもの(通帳やキャッシュカードの写しなど)
  • 場合により、医療費の領収書、相続人全員の同意書や委任状、故人のマイナンバー確認書類など

医療機関の領収書は、金額の確認や添付を求められることがあるため、故人の入院・通院の領収書は捨てずに保管しておくと安心です。振込先は原則として請求する相続人本人名義の口座になります(故人名義の口座が凍結されていても受け取り自体は可能です)。

請求窓口——どこで手続きするか

高額療養費の請求先は、故人が診療を受けた当時に加入していた公的医療保険(保険者)によって分かれます。

国民健康保険(自営業・退職後の方など)の場合

  • 故人の最後の住所地の市区町村役場(国民健康保険の担当窓口)

後期高齢者医療制度(原則75歳以上)の場合

  • 後期高齢者医療広域連合、または窓口となる市区町村役場

多くの自治体では、後期高齢者医療の高額療養費(相続)について専用の案内ページや申請書を用意しています。故人の住所地の自治体名とあわせて確認するとよいでしょう。

健康保険(会社員など)の場合

  • 全国健康保険協会(協会けんぽ)に加入していた場合は、協会けんぽの各都道府県支部
  • 健康保険組合に加入していた場合は、その健康保険組合

どの保険者に加入していたかは、故人の健康保険証(または資格確認書等)で確認できます。窓口や必要書類は保険者ごとに異なるため、手続き前に電話などで必要書類を確認しておくと二度手間を防げます

よくある誤解・注意点

「未支給年金」「葬祭費・埋葬料」とは別の手続き

死亡後に遺族が請求できる「申請しないともらえないお金」には、高額療養費のほかに未支給年金葬祭費(国保・後期高齢)/埋葬料(健保)などがあります。これらはそれぞれ別の制度・別の手続きです。

  • 高額療養費 … 生前の医療費のうち自己負担限度額を超えた分の払い戻し
  • 未支給年金 … 亡くなった月分までの未払い年金(時効はおよそ5年)
  • 葬祭費・埋葬料 … 葬儀を行った方などに支給される給付(時効はおよそ2年)

「一つ手続きしたから他も済んだ」わけではありません。それぞれ窓口・期限・必要書類が違うため、一つずつ確認する必要があります。

限度額適用認定証を使っていた場合

入院前などに「限度額適用認定証(またはマイナ保険証による限度額情報の提示)」を使っていた場合は、医療機関の窓口での支払い時点で自己負担限度額までに抑えられているため、高額療養費として後から払い戻される分は生じないか、少額にとどまることがあります。

ただし、認定証を使っていても、複数の医療機関にかかった場合の合算や、月をまたいだケースなどで追加の払い戻しが発生することもあります。「認定証を使ったから請求は不要」と決めつけず、保険者からの通知や案内を確認しておくと安心です。

相続財産として扱われる点

前述のとおり、受け取った高額療養費(還付金)は一般に相続財産として扱われるとされ、遺産分割や相続税の対象になりうる点に注意が必要です。特に相続放棄を検討している場合の受け取りは慎重に判断する必要があります。金額が大きい場合や相続全体の中での扱いに迷う場合は、税理士・司法書士・弁護士など専門家への確認をおすすめします。

まとめ

亡くなった方の高額療養費は、遺族(相続人)が請求すれば受け取れる、申請しないと戻らないお金です。ポイントを整理します。

  • 誰が:故人の相続人(複数いる場合は代表者が請求し遺産分割で分ける)
  • いつまでに:診療を受けた月の翌月初日からおよそ2年(時効に注意)
  • どこで:故人が加入していた保険者(国保・後期高齢=市区町村や広域連合、健保=協会けんぽ・健康保険組合)
  • 何を使って:高額療養費支給申請書 + 相続を証する書類・請求者名義の口座など
  • 注意:受け取ると相続放棄ができなくなるおそれ。還付金は相続財産として扱われる

高額療養費の時効は年金より短いおよそ2年です。故人が生前に入院や手術をしていた心当たりがあれば、「どの保険に入っていたか」「未請求の払い戻しがないか」を早めに確認することが、もらい忘れと期限切れを防ぐいちばんの近道です。


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高額療養費は、親や家族が亡くなったあとに発生する数十種類の手続きのうちの一つにすぎません。死亡届は7日以内、年金の受給停止は10〜14日以内、相続放棄は3か月、相続税申告は10か月、そして高額療養費や葬祭費・未支給年金はそれぞれ別の期限——と、期限の異なる手続きが同時並行で押し寄せます

無料Webツール「モシュット」(https://moshut.jp) は、こうした死後の手続きを期限順のチェックリストにして、「いま何をすべきか」を一目で分かるようにしたツールです。高額療養費を含む「申請しないともらえないお金」も、期限とあわせて確認できます。まずはここで全体像をつかんでおくと、抜け漏れを防げます。

さらに詳しく、「何を・いつまでに・どこで・何を持って」まで期限順に整理した実務ガイドが必要な方には、note有料記事もご用意しています。


出典・参考

※本記事は一般的な制度・手続きの説明であり、個別の税務・法律相談ではありません。期限・金額・必要書類・相続や相続放棄の取り扱いは、加入していた制度・保険者や個別の状況によって異なる場合があり、制度改正により変わることもあります。特に相続財産としての扱いや相続放棄との関係は個別性が高いため、判断に迷う場合は税理士・司法書士・弁護士などの専門家にご確認ください。実際の手続きの際は、必ず各公式窓口(協会けんぽ・健康保険組合・市区町村・後期高齢者医療広域連合など)の公式情報でご確認ください。

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